男女駅伝の結果報告と分析/野口純正コーチ

OB・OGの皆様方には、平素から学芸大学陸上競技部への応援、ご支援、ご指導を賜り厚く御礼を申し上げます。中長距離ブロックにとっての毎年の大きな目標である「関東大学女子駅伝」と「箱根駅伝予選会」が、9月24日と10月14日に終了しました。
以下、両大会を中心に、このところの中長距離ブロックのご報告をいたします。
結果は、下記の通りで、女子駅伝が「21位(6区間30.6km/1時間56分01秒。24校出場)」。箱根予選会が「39位(11時間28分58秒/1人平均68分53秒8。49校出場)」でした。

【第23回関東大学女子駅伝(千葉・印西市)/2017.9.24(日)】
・9:30start。6区間30.6km。晴れ時々曇り。

<総合成績/24校出場>
21)1.56.01.

<通算&区間成績>
1区(4.6km)西川 優衣(1年)24) 17.29. 24)17.29.
2区(4.5km)卜部  蘭(4年)18) 32.19. 11)14.50.=学芸大最高
3区(3.3km)和田あすか(1年)18) 45.05. 20)12.46.
4区(5.8km)諸富 愛奈(3年)19)1.06.54. 20)21.49.
5区(4.5km)川崎 史奈(1年)20)1.25.53. 22)18.59.
6区(7.8km)深澤 里緒(3年)21)1.56.01. 22)30.08.

【第94回箱根駅伝予選会(東京・立川市)/2017.10.14(土)】
・9:35start。小雨-->曇り、14~15度くらいで良好な気象状況

<総合成績/49校出場>
39)11.28.58.(平均68.53.8)
↓ ↓
国公立では、13校中5位。
19)筑波大、32)東大、35)千葉大、37)一橋大、39)学芸大、40)首都大、41)東工大、42)防衛大、43)埼玉大、45)横国大、47)茨城大、48)高崎経大、49)東大院

<個人成績/575名出場・572名完走>
345)65.33. 川口 文岳(3年/B類社会/逗子開成高・神奈川)資格記録=31.14.33
372)66.12. 入野 翔太(2年/A類理科/真岡高・栃木)15.19.77 31.36.38
417)67.37. 鈴村 公輔(3年/E類生涯スポーツ/恵那高・岐阜)15.39.27 32.33.98
442)68.22. 中島 福尚(2年/A類理科/千葉東高・千葉)32.46.80
448)68.34. 山口 希望(3年/E類ソーシャルワーク/八王子東高・東京)15.19.22 32.40.95
460)68.54. 原田 雄太(3年/A類保体/常葉菊川高・静岡)33.16.87
502)70.11. 望月 大暉(1年/A類社会/駒場高・東京)16.11.20
505)70.18. 長野 朋宏(2年/A類国語/藤枝東高・静岡)15.52.76 33.55.47
508)70.30. 渡邉 拓美(3年/A類学校教育/駒場高・東京)16.21.58
542)72.47. 志摩 亮彦(4年/A類保体/桑名高・三重)16.28.78

他校を含む詳細結果は、関東学連HPをご参照ください。
また、「陸上部HPマネージャーのブログ」「陸上部ツイッター」「男子中長ツイッター」などにも、レースの写真などがアップされていますので、ご覧ください。
選手達が掲げたチームの目標は、女子駅伝が「19位以内」、予選会が「昨年の順位(39位)を上回る。1人平均で68分切り」で、ともに目標達成はなりませんでした。
しかし、レース直前までの練習状況からした私の目算との比較では、女子駅伝は6人全員が±15秒以内で走り、総合タイムは31秒の遅れでした。
箱根予選会は、「69分を何とか切れれば(具体的には「68分48秒±30秒」という目算)」のところ「平均68分53秒8」でしたので、男女ともに「ほぼ今の力は出せたかな」という評価です。

現在の中長距離ブロック(競歩を含む)の男子は、
4年生=3名(長距離1名、競歩2名)
3年生=8名(中距離5名、長距離2名、競歩1名)
2年生=3名(中距離1名、長距離2名)
1年生=2名(長距離1名、競歩1名)
合計 =16名(中距離6名、長距離6名、競歩4名)

「予選会参加標準記録(5000m16分30秒以内、1万m34分00秒以内)」の突破者が今回は「ギリギリの10人」でした。春の段階では8人で、7月に3年生の1人が、9月17日に1年生1人が「16分30秒」をクリアして、「滑り込みセーフ」でようやく10人が揃ったという状況でした。
とはいえ、9月15~17日の「国公立26大学対校」と23日の「日体大長距離競技会(1万m)」では、予選会エントリーの10人のうち9人がそれぞれの専門種目で自己ベスト、1人がシーズンベストをマーク。予選会エントリー外の中距離2人と競歩組4人も出場した4人のうち3人が自己ベスト、1人がシーズンベストと、男子中長距離ブロックとしては全体として「いい感じ」で予選会を迎えることになりました。
ただ、予選会の10日ほど前に、教育実習中の3年生の1人が股関節付近に痛みを訴え、2年生1人も玉川上水コースでの練習中に足首を軽く捻挫。「10人ギリギリ」の状況の中で「ピンチ」となりました。が、レース6日前に池袋で治療院を開業なさっている宇波久美子OG(1982年卒。旧姓・小野)が出場選手達のケアのために午前からわざわざグラウンドに来てくださり、上記の2人もそれぞれ1時間あまりの治療で、「魔法」のように問題なく走れそうな状況になりました。さすが「プロの腕」で、感謝の限りでした。
例年通り、この時期の3・4年生は教育実習と重なり、うち2人は予選会の直前に実習終了ということで必ずしも「万全」ではありませんでした。「10人ギリギリ」で誰ひとりも失敗できないというプレーシャーのかかる中、トータルではほぼ私の目算通りの走りができました。
なお、当日は雨の中、たくさんのOB・OGの方々が現地にお運びくださり、選手達の背中を沿道からあと押ししてくださいました。改めて、御礼を申し上げます。
この数年、予選会への参加校が50校あまりとなり、運営上の都合(特に横一線に並んでの スタート)もあって、来年からは参加標準記録の「5000m16分30秒以内」が撤廃され、「1万m34分00秒以内」のみになり、レース距離も20kmからハーフに変更されます。
今回出場した10人からは1人が抜け9人が残りますが、現時点で「1万m34分00秒以内」をクリアしているのは7人(3年生1人と1年生1人が未突破)。未突破の2人がクリアしても、来春の新入生のうち最低1人がクリアできないと今回と同じく出場の「ピンチ」になりそうな状況です。5000m15分台か16分台前半くらいの力をもつ長距離の新入生が何とか3人くらい合格して、受験勉強での大きなブランクなく入部してくれることを祈りたいところです。また、再来年は現3年生8人(今回の出場者は、うち5人)が一気に抜けてしまい、2年後も「ピンチ」になるかもしれません。

女子は、
4年生=1名(中距離)
3年生=3名(長距離2名、競歩1名)
2年生=1名(競歩)
1年生=5名(中距離2名、長距離2名、競歩1名)
合計 =10名(中距離3名、長距離4名、競歩3名)

で、1年生が一気に5人も入ってきたのは、私の記憶にある限りでは「史上最多」かと思います。現4年生や2年生のように、1年生が1人しか入ってこないという状況であれば、駅伝出場も「ピンチ」になるところでした。
とはいえ、長距離の4人も高校までは1500mあるいは800mがメイン種目であった選手です。そんなことで、5.8kmや7.8kmの長距離区間もある駅伝のチーム編成には昨年も今年もかなり苦しいものがありました。が、何とか今回も出場することができ、1999年から19年連続20回目の参加となりました(1996年に初出場。97・98年はメンバーを組めず不出場)。
上述の通り、男子はほとんど全員が9月に自己ベストをマークしていますが、女子は今シーズン、専門種目で自己新を出したのは10人中5人(高校時代の800mから長距離に転向した1年生の1人を除くと実質4人)。特に1年生は、受験勉強のブランクなどで、本来の力を取り戻せていない選手が多い状況です。

4年生の卜部蘭(G類生涯スポーツ。白梅学園高・東京)も、専門の800mと1500mでは今シーズンはベストを更新できていませんが、日本インカレの1500mでは昨年の800mに続き2年連続の優勝を果たしました。
日本インカレでの卜部は1年生・1500m6位、2年生・800m2位、3年生・800m優勝&1500m2位、4年生・800m4位&1500m優勝と4年連続入賞で、4年間のトータルで「38点」を稼ぎ、チームの対校得点に大きく貢献しました。リレーを除く個人種目での「38点」は、佐藤美保OG(2001年卒。旧姓・杉森)の「42点」に続き、女子では「歴代2位」のはずです。
なお、卜部の母・由紀子さん(旧姓・田島。東女体大)も1986年・日本インカレ1500mを制していて、同一種目での「母娘優勝」となりました。2015年の800mで優勝した山田はなOG(2017年卒。現、わらべや日洋)を含めると、3年連続の日本インカレ制覇です(15・16年の800mは山田&卜部で2年連続の1・2位独占。15年と16年で順位は逆)。
卜部は卒業後も競技を継続し、「2020東京五輪」を目指します。また、山田OGも大学時代と同じく、学芸大を拠点に競技を続けていて、こちらも「2020東京五輪」を目指しています。

女子駅伝については、卜部と3年生3人が教育実習で、特に卜部は駅伝前日の土曜日も授業があって、翌週の研究授業の打ち合わせとその指導もあって、駅伝当日の朝に現地入りとなりました。そんなことで、本来であれば卜部には4年連続での1区(4.6km)を走ってもらいたいところでしたが、少しでも負担の少ない2区(4.5km)を担当することになりました。

1区を担当した西川優衣(1年/E類生涯スポーツ。時習館高・愛知)は、高校2年生の時に1500mを4分25秒23で走っていますが、受験勉強のブランク(一般入試で合格)もあって、まだまだ本来の力は取り戻せていない状況でした。
例年、1区の集団は最初の400mを72~75秒前後、1kmを3分05~10秒前後で入ることがほとんど。それについていくには厳しい実力の他校の選手も、「最初だけは無理してついて、後半に失速して本来の力を出し切れない」というパターンが、繰り返されてきました。
そんなことで、私から西川には「スタートから自分のペースで走ればいい。最初の400mや1kmでひとつ前の選手とも大きな差がついてしまうだろうけれども、無理をした選手が中盤から大きくペースダウンしてくるから最初に大きな差がついても焦らなくてもいい。スタートから大きく遅れて走るのは、勇気がいることだけれども……」というような指示をしました。その指示の通り、西川は自分のペースでレースを進め、最初から最後方を走って、400m地点ではひとつ前の選手と10秒近く、1~2kmでもその差はどんどん広がりました。
最終的には、最下位(24位)での中継でしたが、ひとつ前の選手とは4秒差、その前とは6秒差で卜部にタスキをつなぎました。西川にとっては「勇気ある決断」であったと思いますが、現時点での力はきちんと出したと私は評価しています。

前に選手が何人も見える状況でタスキを受けた卜部は、実習中は「出勤前のjogのみ」という練習しかできていない中、6人抜きの好走で18位に進出。2区の学芸大記録を8年ぶりに更新しました。

3区(3.3km)の和田あすか(1年/A類環境教育。田辺高・和歌山)は、400m・800mが専門の選手。これまた受験のブランクで、本来の力が戻っていませんでしたが、専門種目の4倍以上の距離のラスト数百mで懸命のスパートをし、ほぼ現在の力は出し切り18位をキープしました。

4区(5.8km)の諸富愛奈(3年/A類保体。岡崎城西高・愛知)も教育実習あけ。順位をひとつ落としました(19位)が、同じ4区を走った昨年を26秒上回る区間タイムで、力をしっかりと出しました。

5区(4.5km)は川崎史奈(1年/E類生涯学習。豊田西高・愛知)で、高校時代は800mが専門。大学に入ってから長距離に転向し、5000mのベストは20分25秒61。順位をひとつ落として20位での中継となりましたが、ここでも現在の力は出した走りでした。

6区(7.8km)は昨年に続き深澤里緒(3年/A類保体。静岡高・静岡)が担当。こちらも諸富と同様に教育実習あけ。順位をひとつ落として21位でのフィニッシュで「19位以内」というチームの目標はクリアできなかったものの、昨年を35秒上回る区間タイムで、これまた力はしっかりと出しました。

上述の通り、男女とも選手達が掲げたチームの目標には及ばなかったものの、私の目では、いずれも「合格点」かと思います。
なお、男子の参加標準記録「1万m一本化」のみならず、女子駅伝にも来年からは、「参加標準記録が設定される(らしい)」との情報もあります。具体的にどの程度の「標準記録」が設定されるのかは不明ですが、学芸大のように800mや競歩が専門の選手も駆り出さないとチームを編成できないようなところにとっては、専門外の選手も、どこかで3000mか5000m走らなければならないため、厳しいことになってしまうかもしれません。

秋の「日本インカレ」「26大学対校」「女子駅伝」「箱根予選会」に向け、8月に2回の中長合宿を、北海道・紋別(8月7~12日)と長野・菅平高原(8月19~24日)で行いました(「紋別」は希望者のみですが、ほとんどが参加しました)。
駅伝を本格的に強化している私学のように、1回に10日から2週間前後の合宿を複数回実施し、トータル1カ月を超えるような合宿を行えれば、より一層の強化もできるのかもしれません。が、現在の「6日間×2」の合宿でも十数万円かかってしまうため、これ以上は無理そうです。
なお、紋別合宿では市から、ひとりあたり往復の航空運賃のうち「2万円」と一泊について「2000円(5泊で1万円)」の「トータル3万円」を補助してもらえるので、何とか合宿を行えています。また、期間中は、ワゴン車2台を無償で貸与していただけます(ガソリンを満タンにして返却)。あるいは、ドリンク類や夕食時に「カニ」の差し入れもしてくださいます。
また、中長合宿に際しましては、この十数年間、中長OB・OGの方々から、たくさんの「支援金」や「ドリンク類」などをご援助いただいております。今年も30人あまりの方々から、17万円あまりとドリンク類、果物類などを頂戴いたしました。ご支援金は、菅平合宿での練習場所への移動のためのレンタカー代、給水用ドリンク類、あるいは洗濯用の洗剤の購入などにありがたく活用させていただいております。改めまして、深く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました!!
なお、上記のご支援は、2003~04年くらいから続いております。1990年代から2000年代の初め頃にかけて、卒業後もマラソンを続けていらっしゃる飯村真澄OG(1994年卒。旧姓・飯野)と宮澤晶子OG(1998年卒。旧姓・渡嘉敷)が、長野・車山高原や霧ヶ峰高原での中長合宿に、ほぼ毎年ご参加くださり、その時に「ドリンク類などの足しにしてもれえれば……」と、いつもご支援くださっていました。
学生時代にそれを見ていた岩岡敬祐OB(2003年卒。現、附属竹早小学校教員)が、「飯野さんや渡嘉敷さんのように、中長卒業生としてみんなで現役生のことを少しでも支援できれば……」と、同期生やその上の方々に呼びかけてくださったのが最初だったと、記憶しています。
以後、基本的には前年度卒業のブロック長が「呼びかけ人(世話役)」となって、毎年、ご支援くださって、その輪が毎年少しずつ広がって、現在に至っております。今回は、2017年卒の杉森亮太OBが、呼びかけてくださいました。なお、卒業したばかりでは、在学時に一緒だった同期や先輩方の連絡先しかわからないため、私のところに依頼文が送られてきて、上の代の方々には、私から転送させていただいている次第です。

いわゆる「トラック&フィールド」のシーズンは、ほぼ終わりました。
が、中長距離ブロックにとっては、これからの涼しい好条件のもとでの、各大学主催の長距離競技会やロードのレースなどが目白押し。夏合宿や日頃の練習での成果を「自己ベスト」として残すチャンスが続きます。
卒業生の方々からの、温かい応援、ご支援、ご指導への恩返しは、「自己新」や「関東インカレ標準突破」などです。それらを目指して、中長ブロック部員一同、日々を大切にして取り組んで参りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
以上、非常に長くなりましたが、「女子駅伝」「箱根予選会」を含め、中長ブロックのこのところの状況のご報告などでした。

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